5-01. 基礎力こそ一番大事
どんな曲をやるにしても、基礎力がなければ話になりません。基礎練習を無視して曲の練習ばかりやるのはあまり好ましくありません。確かに、基礎練習なんてあまりおもしろいものではありませんが、地道な基礎練習からすばらしい演奏ができるということを覚えておいて下さい。
とくに新入生にとっては「こんなつまらない基礎練習より、早く色々な曲をやってみたい」と思いがちです。そこで先輩は、基礎練習の大切さを語ってあげて下さい。
5-02. 基礎合奏を行う
どんなバンドでも、基礎合奏はとても重要な練習となります。各バンドの事情もあるでしょうが、可能なら毎日基礎合奏を行いたいものです。基礎合奏により基礎力が向上するのと同時に、毎日15分~30分、必ず全員で合奏する機会を作ることで、バンドとしてのまとまりもよくなっていきます。吹奏楽での基礎合 奏は、ピアノのハノンと同じような位置付けでしょう。(ただ、惰性的・儀礼的に基礎合奏を毎日続けるのは好ましくありません。何らかの工夫が必要です)
そして本番の当日も、いつもの基礎合奏をします。コンクールのリハーサル室で基礎合奏の短縮版をやっているバンドもあります。いつもの基礎合奏をすることで精神を落ちつかせ、良いコンディションで本番に臨めます。
5-03. 基礎合奏の実際
ここでは、基礎合奏のやり方の例を挙げておきます。これを参考に、自分のバンドに合わせたメニューを考えてみてください。
(具体的な練習内容の例)
1~6で約10分の練習となります。
基礎合奏の教則本は3D以外にもありますので、研究してみてください。また、近くの学校はどんな基礎合奏をしているのかを聞いてみたりしながら、効率的な基礎合奏メニューを作ってください。
5-04. ウォームアップ
ケースから楽器を出したら、まずは各自でウォームアップをします。すぐ曲を吹きたいという気持ちをおさえて、軽めのロングトーンや音階練習などをして、楽器と自分の体を慣らしていきます。金管ならマウスピースのみで音を出すバジングをしたあと、楽器につけて低音から少しずつ吹いていくのが良いでしょう。良いウォームアップで、気持ちよく練習を始めましょう。
5-05. ロングトーン
「ロングトーンの練習」はとても効果のある練習です。音程・音色・音質を一定にして音をのばすことによって、曲中で使える音作りをすることができます。深いブレスをとってから音をのばし、息を使い切って次の音へ移ってください。
ロングトーンは「ただ音をのばしているだけ」の練習になってしまう危険もあります。練習のための練習にならないよう、一つ一つの音のイメージを持ちながらやってください。
5-06. 楽器を吹くときに
楽器を吹くときには、次のようなことを注意しましょう。
楽器を吹くときは、軟口蓋(なんこうがい)を十分に開けて、口の中の容積を広く取ると良い音が出ます。「あくびをしたときのようなイメージ」を思い浮か べてください。特に、ロングトーンなど基礎練習の時はこの「あくびのイメージ」を持って、良い音をイメージして練習しましょう。
5-07. 講習会に参加しよう
楽器を吹く上で、できればプロのレッスンを受けたほうが上達は早まります。学校にプロの講師の先生に来てもらったり、個人的に教わりに行ったりと、余裕があるならば、どんどんレッスンを受けましょう。
とはいえ、なかなかそんな余裕はないのが現状です。そこで吹連によっては、近隣の学校と合同で楽器の講習会を開いているところもあります。そういった講習会には、ぜひ参加しましょう。
5-08. B-dur以外も
音階練習となると、まずは吹奏楽の基本の音階「B-dur」を練習します。しかし、年中B-durばかり練習していてはいけません。吹奏楽の曲はB- durだけではないのですから。B-durがある程度できるようになったら、次は吹奏楽曲で頻度が高い「F-dur」「Es-dur」などを練習していき ましょう。またできれば「C-dur」「G-dur」などシャープ系の音階も修得しておきたいものです。新曲をやるときに、まずはその曲の調の音階練習を するのも効果あります。
同様に、チューニングも「B」の音ばかりしてはいけません。確かにBは基準音ですが、Bの音だけ一生懸命になって合わせても、実際の曲中で使う音を合わ せなかったら意味がありません。よく一人づつ「B→F→C→A→B」という順番でチューニングをしていくバンドがありますが、これははるかに効果的な チューニングです。
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