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since 2002.10.14

1-07.リスク管理を行う

リスク管理の考え方


「所属員が楽器運搬中に転倒し大怪我をする」「楽譜の違法コピー行為をtwitter上で告白し団体名がネット上に晒される」など、楽団運営にあたっては様々なリスクが想定されます。


 特にリスクが大きいのは「人体の生命に影響を及ぼすもの」や「団体外に影響を及ぼすもの」であり、これらは時として団体の活動を中止に追い込むほどの結果をもたらしかねず、対策を最優先に実施しなければなりません。また何が「悪い」と見なされるかはその時々で変わるため、ニュース等で世間情勢の変化に敏感になることも必要です。

 

 各担当は、自分の仕事の中にどのようなリスクがあるかを洗い出し、それぞれのリスクに対して具体的にどういう対策が講じられるか検討し、リスクを低減させていくことが必要です。また担当は自業務に没頭してしまうことも多いので、団体責任者など各担当の業務を客観的に把握できる第三者がしっかりとリスク管理をしていくことが求められます。


 さらに団体の雰囲気が許せば倫理規定を設けるなど、所属員にリスクを生じる行動をさせないようにする体制作りも有効な場合もあります。

 

事件事故の例

2013.5.3:某大学の吹奏楽部の合宿中、湖での水遊び中の男女2人が死亡。警察の事情聴取も受け活動が困難に。どの楽団にも起こりうる事故として検討が必要。

楽譜については下記も参考にしてください。

一般社団法人日本楽譜出版協会>よくある質問

楽譜がコピーできる例、絶版楽譜の入手方法などが掲載されており、著作権に関するリスクとその対応について確認できます。

●想定されるリスクとその対策例

リスク
対策の例
演奏会・各種行事  
極度の疲労状態なのに車両の運転をさせ事故発生、打上げ後に飲酒運転をし検挙・事故発生、マスコミで報道 予定を配慮、公共交通機関を使用、運転代行代を団体から支出
(自動車でなく)自転車の道交法違反による検挙・事故 道交法の周知徹底
歓迎会や打上げでのイッキ飲みによる救急搬送・死亡 適正飲酒の徹底
施設からの退出が遅れ施設事務員に残業をさせてしまい、今後の使用禁止措置を講じられる 余裕を持ったスケジューリング、タイムキーパーの配置
有料の演奏会で著作権関係の手続きを忘れJASRACから指導を受ける 担当の明確化と管理体制の構築
会計・備品  
小ホールを借りたつもりが大ホールで、余計な費用が発生 係以外による借用書チェック
会計が実体の無い支出を行い、その分を私的流用 帳簿・領収証の定期的監査
会計の自宅に空き巣が入る、ひったくりにあう等して現金が盗まれる 多額の現金は口座へ入れる、会計の自宅住所の情報管理
録音機やアンプ等、団体備品の無断私的流用 備品管理の徹底、個人に貸与する場合のシステム構築
他団体に楽譜を貸与し紛失される そもそも著作権法上の問題が無いかチェック、その上で貸与する場合はシステム構築
備品の扱いを間違え所属員がケガ・備品が故障 マニュアルの整備、担当による指導
広報・情報管理  
公式サイトで演奏会の開始時刻を誤って周知し、訂正するも間違える観客が続出 複数による相互チェック
公式twitterで違法行為の告白・団体とは関係ない政治的発言をし非難を浴びる ルール作り、複数による相互チェック
所属員の私的ブログで演奏会のアンコール曲目を事前に掲載してしまった ルール作り、規範教育
演奏会の写真や録画した動画等が奏者本人の同意なく公式サイトや動画サイトに上がる ルール作り
所属員のPCがウイルスに感染し、アンケートから得られた観客の個人情報が流出 パスワード保護等
個人情報が入った所属員名簿をそのままゴミ箱に入れ、第三者がゴミ捨て場から取得し名簿業者へ売却 破棄時のシュレッダー
規律・その他  
飲食店での会話で他団体をけなし、たまたま近くにいた他団体の耳に入り問題に
公共の場におけるマナーの教育
食事をした店の前でいつまでも帰らず群がり、お店や通行人に迷惑をかける 公共の場におけるマナーの教育
既婚者の会長と副会長が不倫関係となり、そのもつれから団体運営が機能不全に 所属員同士の私的関係は制限できないものの、団体に影響を与える場合は自制を促す
顧問教員が生徒にセクハラ行為・先輩が後輩に対しいじめ行為(パワハラ) 教育の実施、相談窓口の開設
講師の先生が合奏指導している中、生徒が暇をもてあまし携帯電話をいじり講師の先生に激怒される 使用ルール策定
運営の悩みを相談してくれる団体が突如現れ、親しくなると実は思想系団体で、その勧誘協力を迫られた 相手団体についての冷静な分析(「偽装サークル」でないか)

●倫理規定の例(中学高校などある程度厳しめにする場合を想定)

 

□□アンサンブル倫理規定

○○年○月○○日制定

××年×月××日改正

(目的)
第1条 この倫理規定は□□アンサンブル会則第7条(3)「別に定める倫理規定」に相当し、会員が遵守しなければならない事項を定めたものである。
②会則に定める本会の目的を達成させるため会員は、本倫理規定はもとより、法令や△△学園生徒規則を始めとしたルールやマナーを遵守しなければならない。
(安全衛生)
第2条 自転車も含めた車両運転時また歩行時には、道路交通法を遵守し、交通事故防止に努めなければならない。特に自動車については過労運転や飲酒運転が生じないよう周囲が配慮し、また自転車については信号無視・右側通行・無灯火・携帯電話の使用・歩道での高速走行等を行わないよう十分注意をする。
②楽器運搬時などにおける作業災害防止のため、担当者は対策を講じ作業者に伝える。
③病気・怪我については早めに申し出るようにする。
(団体外への配慮)
第3条 外部施設の借用時に撤収が遅れたり原状復帰が不十分であったり等、団体外に迷惑をかける行為が発生しないよう十分注意をする。
②公共の場においては会員一人ひとりが団体の代表であるという自覚を持ち、周囲に配慮した言動をしなければならない。
(情報発信)
第4条 公式サイト等において団体としての情報発信を行う際は、可能な限り複数人による内容の相互チェックを行い、事実と異なる情報や偏った情報を発信しないようにする。
②会員個人による一般への情報発信については、団体内限定との指定がされた情報についてはこれを禁止し、またそれ以外の情報についても良識を持ち発信することとする。
(情報管理)
第5条 会員、および演奏会のアンケートにて収集した観客の個人情報については、鍵付きキャビネットに保管し廃棄時はシュレッダーにかける、またデータ化するときはファイルにパスワードをかける等、その扱いは厳重に行わなければならない。
(楽器管理)
第6条 楽器は慎重に扱わなければならない。他パートの楽器を触れるときは了解を得てからとする。
②特に、長物楽器をドア上部に衝突させる、ティンパニのペダルを引きずる、ピアノの上においてあった飲み物がこぼれる等には十分注意する。
(備品管理)
第7条 楽譜やその他の備品については故障・紛失等が無いよう取り扱わなければならない。
②特に、パート譜の紛失、メトロノームの落下、音量レベルを0にしないままアンプの電源を落とす等には十分注意する。
③備品貸出の際は管理簿を作成し紛失を防止することとする。
(会計管理)
第8条 会計担当者は団体の金銭を厳格に管理しなければならない。また総務局長は会計監査を行い、会計業務が適切に行われているか確認しなければならない。
(規律)
第9条 会員は、挨拶・返事の励行、服装の整備、時間厳守を心がけなければならない。
②遅刻・欠席・早退をする場合は、事前に担当に申し出なければならない。
③携帯電話については練習前後および休憩時のみの使用とし、練習時に使用してはならない。ただし緊急時および団体に必要な連絡に用いる場合はこの限りではない。
④練習外の携帯電話の使用については時間に配慮し、22時以降の深夜や6時前の早朝には緊急時以外の連絡を控えるよう心がけなければならない。
(整理整頓)
第10条 会員は練習で使用する施設を常に清潔に保ち、整理整頓を励行するものとする。
(パワハラ・セクハラの防止)
第11条 指摘・指導を行う際は、あくまで対象となる行為について指摘・指導を行い、対象者の人格の否定、団体内の立場の差を利用した嫌がらせ等は決して行ってはならない。
②団体はパワハラ・セクハラについて相談窓口を設け、申し出に対し誠実に対応する。
(演奏等の扱い)
第12条 演奏会や通常練習等において撮影された写真、録音された音源、録画された動画については団体の所有物とし、団体内において活用することとする。なお会員が団体の演奏のため編曲した楽譜についても同じ扱いとする。
②前項の演奏等についてweb等において一般に向け公開する場合、関係者全員の了解を得なければならない。
(改正)
第13条 この会則の改正は、総会において会員の3分の2以上が賛成した場合これを行う。
附則 この会則は○○年○月○○日より施行する。
②この会則は××年×月××日に改正し、施行する。

 

※団体の性格により記述の強さや内容は変わってきます。所属員の意向を無視し強硬に制定することは避けてください。