決算を作成し報告する
年度の終わりには一年間の会計のまとめとして、決算を作成する作業を行います。
決算を作成するのは二つの意義があります。まず「所属員から預かった部費・会費等を、一年間こういう形で使ってきました」と所属員に報告する「会計報告」です(会計報告の頻度は団体により異なりますが、最低限年に一度の決算時に行います)。そしてもう一つ「次年度の予算を検討する際の資料とする」というのも決算作成の意義となります。
実際の作成に当たっては、勘定科目ごとの年間の金額を算出し、収入の部・支出の部という形でまとめ、差し引きを次年度繰越金として記載します。また決算月の月末集計(締め)時には必ず会計以外による現金監査を行い、決算に記載された金額が確かにあるという旨を会計・監査人の連名で明記します。
なお一般会計から独立した別の会計があったり、預貯金口座があったりする場合については、それらも含めた形で決算を作成する必要があり注意が必要です。例えば口座に利息の入金があればそれは決算には記載し、逆に会計間移動で口座から現金を引き出した場合、その取引は現金出納帳には記載をしますが決算作成時は除外して考えることになります。
決算を基に予算を作成する
決算さえ作成できれば、予算を作成するのはそこまで大変ではありません。今年度の決算の状況や、次年度の運営方針を踏まえ、次年度増やしたほうがよい科目・減らしたほうがよい科目を反映させ予算を積み上げていき、それが現状の部費・会費等でまかなえるかを判断します。
所属員の人数が同一であり、かつ活動内容も同一であるならば、部費・会費等の金額は同一でも構いませんが、多くの場合はそうはならないと思います。来年度も部費・会費の額は同じでいいか、繰越金が減り続け臨時徴収の必要が出たりしないか、逆に繰越金が無意味に増え続けたりしないか判断を行います(なお将来的に購入したい備品や予定している行事があれば、積立金という形で予算を取ります)。これらは団体運営に密接に関わることであり、会計だけではなく団体責任者も含め検討を行います。
決算については所属員全員が集まる会議で報告だけすればいいですが、予算については審議事項となり、同意を得て初めて次年度予算が動き出せることとなります。なお会議のタイミングが合わず予算承認前に動かなければならない場合が想定された場合、事前にその旨も了承を取っておきます。
助成金等の申請
音楽団体の主な収入は部費・会費等や、有料の演奏会を行っていればその入場料等となります。ただそれ以外にも、学校の生徒会や地方自治体・各種団体等から支給される助成金・補助金などを申請することができます。
助成金等の申請にあたっては、団体の運営状況を示すとともに会計状況も示す必要があります。これは、本当に助成金等を必要としているのか、また助成金等が支給された場合にそれが正しく使われるかを支給側が判断するためです。従って助成金等の申請時は、会計の力が試されることになります。
会計業務をどこまでやるか
以上紹介した会計業務はその業務負荷が大きく、団体によりどこまでやるかは判断しなければなりません。もちろんある程度の団体になればこれら全てを行う必要がありますが、そこまでではない場合、最低限「帳簿記入」「月末集計」だけは行うようにします。それにより会計が所属員から集めたお金をしっかり管理しているということを示すことができます。
また本書では単式簿記に基づき説明してきましたが、大規模団体で例えば部費・会費等の未収金を管理したい等の場合は複式簿記を採用したり、会計業務の負担軽減のため伝票会計を導入したりすることができます。