司会を考える
演奏会での司会は、観客の耳をリセットさせたり、次の曲に向けた観客・奏者の準備時間となったりという役割があります。また司会自体が面白いものなら演奏会全体の雰囲気を良くしてくれます。
司会については奏者が兼任する場合と、専門の方にお願いする場合とがあります。後者の場合、知人に頼んだり、学校であれば放送部等に頼んだりできますが、原稿をしっかり作成しておくことが必要です。曲名・作曲者の読み方から、司会を入れるタイミング(きっかけ)等、原稿に細かく記載をして行き違いが生じないようにします。また曲を知らず曲順を間違えることの無いよう、音源も渡します。
照明を考える
照明はまず最低限行うべき事として、ステージ照明と客電(客席の照明)の操作があります。「本ベル(2ベル)→客電F.O.(フェードアウト)→ステージF.I.(フェードイン)→奏者入場」といった形式が定まっているジャンルの演奏会は特に、トラブルがあると目立ってしまうため、入念な打ち合わせが必要です。
また例えばポップスステージで、ソリストにピンスポをあてたり、静かな曲で寒色系の照明を使用したり、ミラーボールを回したりという演出も可能です。もちろんやり過ぎるとうるさい場合もありますが、検討の価値はあります。
こうした照明関係については、ステージ照明・客電関係の操作だけなら会場の方に教わり自分達で行うことも可能ですが、複雑な操作を伴う場合は会場専属の方等、専門家に依頼することも選択肢の一つです(また劇団などに照明に強い人がいることもあります)。いずれにせよ、キューシートなど照明の台本をしっかり作成しておくことが必要です。
その他の演出
司会・照明の他にも、次のような演出が考えられます。もちろん演奏自体の完成度がまず求められますが、その上で視覚的に観客を楽しませようとするのは演奏会全体の印象を向上させるものとなります。
●影アナ原稿例
開演5分前 予ベル(1ベル)鳴ったら |
「まもなく開演となります。ここでお客様にお願いがございます。携帯電話・時計のアラーム等、音の出る機器のスイッチはお切りくださいますようお願い申し上げます。また、会場内での録音・録画・写真撮影等はご遠慮ください。それでは開演までもうしばらくお待ちください」 |
開演時間 本ベル(2ベル)鳴ったら |
「本日は、時定高校リコーダー部第10回定期演奏会にお越しいただき、誠にありがとうございます。最初にお送りいたします曲は~」 ※奏者入場後にアナウンス無しでいきなり曲を始め、一曲目終了後に影アナor司会が入ることも多い |
曲紹介 (ある程度形式ばった演奏会の場合) |
「次にお送りするのは、OSTER projectの『おひめさまになりたいのッ!』です。お姫様になりたいという夢を持つ鏡音リン、しかし白馬の王子様はなかなかやってこない現実を、明るいサンバで表現しています。今日はサンバホイッスルも加えて演奏いたします。どうぞお聴き下さい」 ※演奏会の雰囲気によってはウケを狙う等あってよい |
第1部終了時 客電点灯後 |
「以上をもちまして第1部は終了となります。ここで○分間の休憩を頂きます」 |
休憩終了3分前 | 「お客様にお知らせいたします。まもなく第2部の開演となりますので、席にお戻りくださいますようお願い申し上げます」 |
アンコール終了 →客電点灯後 |
「本日はご来場いただき、誠にありがとうございました。なおお手元のアンケートのご記入にご協力頂ければ幸いです。お帰りの際はお忘れ物をなさいませんようお気をつけください」 |
●舞台等の用語
上手(かみて)・下手(しもて) |
客席から見て、舞台の右が上手、左が下手 使用例:「下手から入ります」 |
緞帳(どんちょう) | 舞台の幕のこと。緞帳を降ろさない演奏会も多い |
MC (Master of Celemony) | 司会のこと |
きっかけ | 照明等を操作するタイミング |
キューシート |
きっかけとそれに対する操作がまとめられた台本のこと 例:きっかけ「MC入場」→MCにピンスポあてる |
バミる | 譜面台等の目印が無く奏者がどこに立つか分からない場合、床に養生テープなどで立ち位置の印をつけること |
板付き | 奏者が最初からステージ上にいる状態で緞帳が上がり(または緞帳は上がったままステージ照明F.I.で)開演すること |
動線 | 観客が会場内を動くルート。トイレや喫煙室等への動線を明示し、混雑・間違えて楽屋等に入る等が無いよう配慮する(奏者・スタッフ専用ゾーンへ入るにはパスの提示を求める等) |
・裏方が目立ちすぎて主役の邪魔をしてしまうことは往々にしてありがち。「お客さんから『照明良かったよ』と言われたらだめだ。照明はお芝居の後押しであるべきであって、照明が目立ってしまったら失敗だ」(鷲崎健のヨナ×ヨナチャンネル2016/8/3放送分より、照明屋さんである鷲崎淳一郎氏の言葉)
・一部でもはや定着しつつある映画におけるフォトセッションタイム。劇場内の撮影は禁止と単に規制するのは時代遅れで、うまい落とし所を作ってあげるというのは、演奏会などイベント開催側にとっても示唆深い。2018/1公開「映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-」